読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

せなどすブログ

あんまり明るいことは書きません

失恋したので髪を切りました

髪を切った。そこそこの長さ。「ショートボブ」と呼ばれる髪型になった。

あまり変わらないといえば変わらないけれど、ここ2、3年ずっと「ミディアムボブ」くらいの長さを保つようにしていたから自分としては新鮮だ。

本当はずっと短い髪にしたかった。でも、彼が好きなのは昔からロングヘアだった。

高校生のころは「彼がそっちの方がいいと言うから」という理由だけで、服装や髪型を変えられた。それを躊躇するくらいには、私も大人になっていたということだろう。ショートにしたい自分と、ロングが好きな彼、間をとってミディアムにした。そういう、妥協のうえに成り立つ関係だった。

一生一緒にいるのだと本気で思っていたから、ふたりで生きていけるように「間を取って決める」ことが当たり前になっていた。クッションひとつにしたって、私はピンクがよくて、彼は黒がいい、じゃあふたりが納得できる白を買おう。一緒に住みたい私と、実家にいたい彼、じゃあ週に2、3日は来られるように、私が彼の会社の近くに住もう。

いま、自分の周りにあるもの、環境、すべて、それが私の「好き」だったのか彼の「好き」だったのか、もうよくわからない。 

10年間も同じ人のことを好きでいると、そのこと自体が自分のアイデンティティみたいになってくる。

別れて3か月、未練はたぶんもうない。でも、長い間ずっと「彼を好きな自分」でいたので、「彼を好きじゃない自分」は何かが足りないような気がしてしまう。好きって気持ちにもう中身はなくて、サビみたいにこびりついてるだけなのに。それがなくなってしまうと、私を構成する原子だか分子だかの半分くらいが消えてしまう気がする。

半分はさすがに言いすぎかもしれない。でも、25年しか生きてないのにそのうち10年も好きだったんだから、3分の1くらいには相当すると思う、たぶん。

だらしない私と神経質な彼。毎日は無理だから2日に1回は掃除をしよう、洗濯物も洗い物もなるべくためないようにしよう。かわりに、たまには料理が得意な彼にご飯を作ってもらおう。

彼と別れてから、私は掃除も洗濯も洗い物もほとんどやらなくなった。さすがにまずいと思うまで放っておく。キッチンはまったく使っていない。

妥協して伸ばしていた髪を切って、部屋が狭くなるからと彼が嫌がっていたソファを買って、結婚資金として貯めていた(本当に微々たる)お金を使い切って……。

久しぶりに自分本位な生き方ができて、すごく楽だ。でも、どんどん汚れていく部屋や、次から次へと増えていく服や靴を見ていると、ああ自分はひとりになってしまったんだと実感してちょっとセンチメンタルになる。

だけど、たとえひとりきりでも自分らしい方がいい。ひとつずつ、私と彼の「間を取った好き」じゃなくて、「私だけの好き」を取り戻していこう。

そのために髪を切った。ややちびまる子ちゃんみたいだけど、これはこれで気に入っている。