せなどすブログ

どうでもいいことしか書いてありません。

今年度の新卒フリーランスはファーストペンギンになりうるか

新年度が始まって、10日あまりが過ぎた。今年度から、新卒フリーランスとして働き始めた人たちは、どう過ごしているだろうか。

 

彼らと同い年のころ、私は"自分のやりたいこと"なんて、まったく見つかっていなかった。就職活動中も、自分が社会に出るなんて実感も覚悟もなくて、惰性で日々を過ごしていた。それに引き換え、12月1日*1になったとたん、人が変わったかのように自己分析だ業界研究だなんだ言い出した同級生に違和感と気持ち悪さを感じていた。でも、卒業が間近に迫っているなかで「就活しない」という選択肢はない。しぶしぶ説明会やら面接やらに足を運んだ。

結局、就活はぜんぜんうまくいかなかったし、心から入りたいと思える会社には出会えなかった。それでも、ただ流されるままに内定を決めた。最終的に「やっぱ、やめた!」と言って逃げ出したんだけれど。だから、大学を卒業するまでに"自分のやりたいこと"をきちんと見つけて、しかもそれで食べていけるくらいの実績を積んでいることは、心から「すごい」と思う。さらに「自分はこれをやりたいから就職しない」と声を大にして言えるところも、年下なのにこんなにしっかりしているなんて……と、自分の未熟さに呆れる。

自分がフリーランスで働いているせいもあるけれど、彼らのような存在はぜひ応援したいと思う。私の力など微々たるものだけれど、せめてブログのPVくらいには貢献したい。

 

働き方が多様化していくのは、単純にいいことだと思う。選択肢が増えれば、誰もが自分に合った働き方ができるはずだから。とはいえ、新卒フリーランスという働き方が一般的ではないのはたしかだ。そもそも、お年を召した世代の方々なんて「フリーランス」という言葉の定義すら知らないのではないか。

そして、新卒フリーランスという道は明らかにハイリスクだと思う。まず、フリーランスという働き方は、基本的に失敗が許されない。企業がこれから一人前に育てていくことを見越して採用する新卒の新入社員と違って、フリーランスは即戦力でなければ意味がないし、期待されている成果を上げなければ契約を切られるなんてザラだ。それでも、フリーランスで生計を立てていくなら、どこかの企業と契約して「お仕事」をいただかなければならない。

新卒の新入社員なら、失敗しても経験のひとつだと容認される一方、新卒フリーランスは、期待していたより「おもしろくない」「結果につながらない」と判断されたら使ってもらえなくなる。22歳やそこらで、そんなシビアな世界で生きていかなければならないのは、なかなかしんどいことだと思う。しかも、失敗できないと思うとどうしても手堅くなりがちだ。失敗から多くを学ぶということは往々にしてあるので、新卒で企業に入社した同期たちが、なんだかんだ会社が尻拭いをしてくれる環境のなかで挑戦を繰り返した結果、10年後には大きく差がついていたということにもなりかねない。

そして、個人のスキルや能力にかかわらず、新卒はたいてい「使えない」。どんなに優秀な人でも、仕事の段取りの仕方とか、問題が起こったときの対処法とか、そういう引き出しがまったくもって皆無だからだ。企業に入れば、先輩やら上司やらが指導してくれるけれど、フリーランスだとそれは難しい。対等な関係で契約している以上、仕事をいただいている企業や人から、何かを教わることを期待してはいけない。教える必要があるなら、わざわざフリーランスは使わない。

 

でも、ハイリスクな世界に率先して飛び込むファーストペンギン*2は、それだけ大きな利益を得るという。単に収入の面だけで考えれば、一定の年代まではフリーランスの方が有利かもしれない。とはいえ、リスクに見合うだけのリターンを得るには、フリーランスの主たる財源であるスモールビジネスだけでは立ち行かない。

新卒フリーランスがこれからどうやって活躍していくのか、社会人経験たった3年でフリーランスになった私にとっては、自戒もこめて目が離せない。

*1:2013年卒の就活解禁は12月だった

*2:群れで行動するペンギンのなかで最初に海に飛び込む一羽になぞらえ、未開拓の領域に挑戦する投資家や起業家のに対して使われる