だからお前はブスなんだって4年越しに言ってやりたい
鼻にヒアルロン酸を入れてきた。
鏡を見るたびに「わー、鼻がある……!」と感動し続けている。
ずっと、自分の鼻が嫌いだった。
横顔を見られるのが本当にイヤで、人が真横に立っているとすごくストレスを感じていた。
でも、施術を受けてから自分の横顔を見るのが楽しくて仕方ない。
なんてったって、ずーっと「ここに鼻筋があったらどんなにいいか……」と思っていたその場所に、鼻筋ができたのだから。
施術を受けるのはほぼ勢いで決まったんだけど、内心すごく葛藤した。
ずっと「整形したい」と思ってはいたけど、いざ本当にやるとなると、顔を変えたら急に何かがおかしくなってしまうような気がした。
とはいえ、いまは本当にやってよかったと思ってる。それから、ヒアルロン酸が身体に吸収されたら、また入れにいくとすでに決めている。
正直、けっこう痛かったんだけど、そんなの余裕で我慢できるくらい、施術をしてからの幸福感がやばいのだ。
美容整形の"ハードル"は年々下がってきているらしい。実際にやってみた身として思うのは、それはたぶんいいことだということ。
鏡を見る時間が楽しくなるだけで、トータル1日1時間くらい明るい気持ちになれる。
1週間なら7時間、1か月なら30時間。閉塞感漂う世の中で、それってけっこうすごいことじゃなかろうか。
大学生のころ私は毎日、"自分史上最高可愛い"を更新するのに躍起になっていた。
バイト代はすべて、洋服と化粧品、月1回の美容院と2週間に1回のまつエクに消えた。
食費をまかなうほどのお金がなくて、実家の冷蔵庫から冷凍の今川焼をくすねて食べていた。
そんな生活をしていたとき、大学の同期の女の子に嫌味を言われたことがある。
裏でもすごい悪口を言われていたと、共通の友だちがわざわざ教えてくれた。
私は、自分の外見のために時間やお金を使うことを、別に普通のことだと思っていた。
でもそれは「実家暮らしのお嬢様はいいよね」という嫌味や、「あいつは金が湯水のように湧いてくると思ってる」という陰口をたたかれることだったらしい。
そのとき、他人のキレイになりたいという努力を否定するなんて「だからお前はブスなんだ」って言ってやりたかったけど、もしかしたら私が間違っているのかもしれないと、なんだ自信がなくなったのを覚えている。
そのあと、なんとなく「時間とお金をかけてキレイになろうとすること=悪」みたいな感覚が少し芽生えた。実は、彼女に言われたことがけっこう心にぐさっときていた。
それから4年近くたって、「美容整形を受ける」という事実を前にしたとき、このことを鮮明に思い出した。
いま、彼女とはぜんぜん連絡をとっていないけど、周りの人はもしかしたらみんな彼女と同じ反応をするかもしれない。
1番心配なのは彼氏の反応だった。整形した女なんてイヤだって振られるんじゃないか。
先生に「ヒアルロン酸入れてきますか?」って言われて、「はい!」と答えるまでたぶん1秒もかからなかったけど、頭のなかでは一瞬のうちにものすっごい葛藤を繰り広げてたわけだ。
結局「いい記事書くためには、自分の身体で感じなきゃ」という職業人的判断でやってもらった。
でも、何度も言うけど、ひとりの女性としても、本当にやってよかったと思う。
というかやっぱり、キレイになるためにやる努力のひとつだもん。いま考えると何を迷っていたのかわからない。
もちろん、リスクもたくさんあるので、どんどん整形しちゃえよって無責任なことは言えない。
でも、自分がやりたいと思うなら、周りの目はぜんぜん気にしなくていいと思う。
後ろめたいと思うことはなにもない。男でも女でも、美しくなりたいってたぶん自然な欲求だ。
それを確信できたいまだから、改めてあのときの彼女に言いたい。
人の努力を否定することしかできない、だからお前はいつまでたってもブスなんだって。