せなどすブログ

あんまり明るいことは書きません

女子はなんでもかんでも「カワイイ」というけれど

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「女はなんでもかんでも『カワイイ』と言う」というのは、「はい、そうですね」と認めざるをえません。自分でも「これは本当に『カワイイ』という表現で合っているのか」と疑問に思いながら使うことがあります。

でも、そこに言葉のおもしろさを感じていたりもするのです。

「カワイイ」=生存戦略

本来「可愛い」という言葉は「小さくて愛らしい」ことや「同情を誘うばかりにかわいそう」(『岩波国語辞典』より引用)なことを表す言葉です。でも今、わたしたちが使う「カワイイ」という言葉は、本来の意味のほかに「オシャレ」や「キレイ」、「似合う」などたくさんの意味を持っています。もはや「おいしそう」という意味まで含まれているかもしれません。

それを「バカだ」という人もいますが、これには女子特有の理由があるように思います。

24年間、女をやり続けて実感していますが、「女性は共感を求める生き物だ」というのは真実だとおもいます。(その理由については、まだ考えあぐねていますが。)

そして、仲間どうしで共感するために便利なワードが「カワイイ」という言葉なのです。

当たり前のことですが、まったく同じものを見たとしても、それを表現する言葉は人それぞれ違います。それは、感性の違いはもちろん、ボキャブラリーの数にも個人差があるからです。

だから、自分の頭のなかに浮かんだ言葉をそのまま口に出すと、その場にいる全員が同じことを言う確立はかなり低いです。最悪なのは、自分ひとりだけ違うことを言ってしまったとき。血の気が引きますね。

そこで、全員が同じ表現をするために、汎用性の高い言葉が必要になります。そしてそれが「カワイイ」という言葉なのです。

女はバカだから、なんでもかんでも「カワイイ」というわけではありません。女子の世界で「うまくやる」ための、いうなれば生存戦略なわけです。なかにはただのボキャ貧もいますけどね。

個人的にはそんなことを気にするのはくだらないことだと思います。「みんなちがって、みんないい」のです。でも、女子校で過ごした6年間、わたしがうまく周りに馴染めなかったのは、そこに原因があったのかもしれません......。(涙目)

「カワイイ」=「あはれなり」

そんなわたしも最近は、けっこうなんでも「カワイイ」ですましてしまうことが多いです。それはもちろん、大人になって少し丸くなったということもありますが、汎用性の高い言葉を使うのは、もしかしたら日本の伝統なのかもしれないと思ったからです。

古文の授業を思い出してみてください。「あはれ」という言葉をよく耳にしたと思います。

この「あはれ」という言葉は「しみじみとした趣がある」「かわいい」「もの悲しい」(『土屋の古文単語222』より引用)などたくさんの意味を持っています。だから、同じ「あはれ」でも意味は文脈によって変わってくるのです。

ほかにも「をかし」「いみじ」など、古文単語のなかには多義語がたくさんあります。「いみじ」なんて「たいそうすばらしい」「たいそうひどい」(『土屋の古文単語222』より引用)というまったく逆の意味を持っていますからね。だから個人的に「ヤバい」という言葉は「いみじ」の進化系だと思っています。

わたしは古文の授業が大好きだったのですが、その理由のひとつがこの多義語の多さでした。ひとつの言葉なのに、たくさんの違う意味をもっている。だから、文脈や行間から意味を推測しなければならない。それを考えるプロセスがとても楽しかったのです。

だから「カワイイ」は「あはれ」と同じかもしれないと思ったとき、なんでもかんでも「カワイイ」と言うことに、あまり抵抗がなくなりました。「今の『カワイイ』はどういう意味で使われたんだろう」と考えるのもけっこう楽しいです。

でも、コミュニケーションのために「カワイイ」という言葉を使うのではなく、なんでもかんでも「可愛い」と思ってしまうようになるのはご免です。そのためにも「カワイイ」を使うときは、その意味をしっかり考えようと思っています。