君の髪型は。
ラスト25。バースデー・イブ。明日、26歳になってしまう。もうすぐ誕生日だっていうのに、口内環境が最悪だ。唇にも舌にもド級の口内炎ができていて、とても痛い。ついてねーなマジで。
そんなことより、26歳になる前にどうしても言っておきたいのは、『君の名は。』の女の子の髪型どうなってんのってことだ。
映画の序盤、主人公の女の子が朝の支度をしているシーン。彼女は手慣れた手つきで三つ編みをしたあと、ふたつの毛束をうしろでまとめ、組紐っていう和風のリボンみたいなものを使って頭の高い位置に留めていた。
このとき目を疑ったのは、けっして細くはない三つ編みの毛束を、あまりにも軽々と留めていたから。「ウソだ……」と思った。
そもそも、けっこう量のある髪の毛を紐で留めようなんて正気の沙汰じゃない。しかも、あのシーンをみるに、紐以外のアイテムはまったく使っていないのだ。
絶対、重力に負ける。
しかも、三つ編みの毛束を高い位置で固定するためには、地肌と表面の髪の間に紐を通さなければならない。それなのに、そんな仕草はまったく描写されていなかった。
百歩譲ってそのへんはカットされてたってことにして、なんとかうまく留められたとしても、走ったら一発アウトだと思う。体育の授業なんて出られない。
冒頭のシーンからずっと、あの髪の毛が一体どうやって留まっているのかばかりを考えてまったくもって話に集中できなかった。
そんななかふと、リボンがめっちゃ形状記憶してんなってことに気付いて、これは針金が入ってる可能性があるなと。それなら、この謎の髪型に説明がつく。
正直、結んでるときはぜんぜん針金感なかったけど、そこは目を瞑ろう。ていうか、針金が入ってなきゃおかしい。だって結んだ紐の端っこが重力に逆らって上向いてるもん。
そうやって納得して、ようやく話に集中できた。
と、思ったら大どんでん返しだよ。
女の子が男の子に会いに行って、偶然電車のなかで出会うシーン。
紐をね、スーッと。ほんとにスーッとほどいたの。しかもそれをふわって、渡しちゃって。
針金入ってねーじゃん。
謎は深まるばかりだよ。
ただそのあとすぐ、髪の毛をばっさり切ってくれたのでなんとか話に意識を集中させることができたけど。
映画が終わってすぐググったら「三葉の髪型のつくり方♡」みたいな記事とか動画とか見つけたけど、ピンで留めるとかハーフアップにしてから巻きつけるとか、いや違うじゃん、そんな風にやってなかったじゃんってやつばっかりだった。
それでふと、舞台やってたときに言われた言葉を思い出した。「嘘をやってるんだから嘘を見せるな」っていう。つまり、やってることは全部嘘っぱちだからこそ、嘘の世界をいかに真実のように錯覚させるかっていうことがすべてで。だから、舞台上の装置はなるべく本物を置くか、本物そっくりに作るかする。ほころびがあると、そこから現実に引き戻されるから。
ああ、こういうことか、とすごく腑に落ちた。
いや、アニメだからって言われたらそれで終わりなんだけど、プリキュア観に行ったわけじゃないし。四谷とか信濃町とか現実にある場所が舞台になってて、わーそのまま!って描き方してるんだから、組紐って超重要アイテムこそリアルに描いた方が……よかったんじゃ……ない?
総じて「あの髪型なんやねん」って感想しか持てなかったんだけど(あ、でも画はすっごいキレイだった)なんか、めちゃくちゃ、ヒットしているらしくて。世の中ってわかんねーな。
言いたいこと言えてすっきりしたから心機一転、晴れ晴れした気持ちで26歳を迎えられそう。
わーい!