ウーパールーパーの別名、知ってる?
かつて、通っていた大学の王様を決める大会で、ウーパールーパーを食べるという競技があった。(自分でも何を言ってるのかよくわからない)
ブームが過ぎ去ってから生まれた私にとって、ずっと曖昧だったウーパールーパーのイメージが、「ゲテモノ、キワモノ、イロモノ」のジャンルに割り振られた瞬間だった。
それからウーパールーパーと接点をもつ機会はなかったから、ここ最近までずっとそんな印象のままだった。
でも、もしいま「一番好きな両生類は?」と聞かれたら、間違いなくウーパールーパーと答える。それは、『よしふみとからあげ 』という超絶キュートなコミックに出会ったからだ。
社蓄の飼い主としゃべるウーパールーパーの物語
『よしふみとからあげ』の主な登場人物(生物)は、月の残業時間が100時間を超え、タイムカードが真っ黒な、社蓄のなかの社蓄よしふみと、よしふみの元嫁がスーパーの食品売り場で見つけたウーパールーパーのからあげ。
もともとは、ただのウーパールーパーだったからあげだが、よしふみの嫁が離婚届を置いて家を出て行ったその日、どういうわけか人間の言葉をしゃべれるようになる。やけ酒をしているよしふみに「ドンマイ。元気出せよ、よしふみ」という言葉をかけたのだ。
出典:関口かんこ『よしふみとからあげ』(講談社)
『よしふみとからあげ』は、飼い主のことを思いやっているのか、小馬鹿にしているのかわからない、しゃべるウーパールーパーと、嫁に逃げられた社蓄の飼い主よしふみのちょっとシュールでハートフルな日常系ストーリーである。
憎めないからあげと、振り回されるよしふみ
『よしふみとからあげ』がおもしろいのは、からあげとよしふみの間に明らかな上下関係があること。立場が上なのは、ウーパールーパーのからあげ。人間のよしふみは、一方的に振り回されては不運な状況に陥っている。
ウーパールーパーは非力な生物だが、からあげはその達者な口でよしふみを"口撃"したり、クレジットカードや保険証を人質ならぬ"物質"にして脅したりすることで、よしふみをパシリにしているのだ。
出典:関口かんこ『よしふみとからあげ』(講談社)
わがままで生意気なからあげは、よしふみの人の良さにつけこむ性悪女ならぬ性悪メス(からあげはメス)なんだけど、どこか憎めない。ゆるいしゃべり方や小さい身体が可愛らしいし、結果的に藪蛇になるとはいえ、大切なATMであるよしふみのために、健気な行動をする姿がいじらしいからだ。
個人的に一番萌えたのは、よしふみが自分のことを家族と呼んだことに対して、「フフフ」とにやけていたシーン。とてもかわいい。
出典:関口かんこ『よしふみとからあげ』(講談社)
それから、ブラックジョークがふんだんに取り入れられているところも好き。からあげが自分を非常食と称したり、アンパンマンに憧れて子どもに自分の身体を食べさせようとしたり……。からあげっていう名前とあいまって、シュールさが増す。
最新巻(3巻)のなかではとくに、ポッキーゲームをしようとして別のウーパールーパーを共喰いするシーンや、『ブラック・ジャック』のパロディ(「おこがましいと思わんかね」のやつ)が印象に残っている。
実は、ウーパールーパーのほかにも、いろいろな生物が登場するんだけど、だいたい死ぬ。カナブンとスズメの退場の早さには笑った。
クスッと笑えて暇つぶしにちょうどいい
『よしふみとからあげ』は、1話の長さがだいたい2ページくらいで、テンポよく話が進んでサクサク読める作品。爆笑することはないんだけど、ついクスッとかニヤッとかしてしまう。いい意味で暇つぶしにちょうどいいし、公式サイトに書いてあったように、寝転がって読みたい感じの脱力系漫画だ。
個人的に、いま1番好きな漫画かも。からあげがギョロ目キャラっていうのもポイント高い。
ちなみに、ウーパールーパーの別名はメキシコサラマンダー。あとアホロートルとも言うらしい、よ。